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株式会社 At Marvelousアットマーベラス

コラム

ネットショップ運営を外注せず内製化した話 — 中小ECの業務自動化ノウハウ

「EC運営代行をお願いできますか」とよく聞かれます。でも私たちは、自社のネットショップ運営すら外注せず内製で回しています。受発注・在庫管理・価格改定・倉庫ピッキングを自動化した中小ECの実例と、内製と外部活用の見極め方を現場目線でまとめました。

「EC運営代行って、お願いできますか?」——ありがたいことに、そう問い合わせをいただくことがあります。 ただ、私たちは他社さまのネットショップ運営を丸ごと請け負う「運営代行」を看板商品にはしていません。 理由はシンプルで、自分たちの運営ですら、外注ではなく社内で作った仕組みで回しているからです。

EC運営代行を検討している事業者さまの多くは、「業務が多すぎて人手が足りない」「担当者の属人化が怖い」「コストを抑えながら効率化したい」という悩みを抱えています。 その気持ちはよく分かります。私たちも同じ壁にぶつかり、そして「外注」ではなく「内製+自動化」という答えにたどり着きました。 本記事では、岐阜の中小EC事業者である私たちが、ネットショップ運営の業務をどう自動化してきたか、その実例と判断の軸を書いてみます。

EC運営は「業務の塊」——だから運営代行が生まれる

ネットショップ運営をひと言で言うと「細かい業務の塊」です。 商品登録、価格改定、在庫管理、受発注処理、発送指示、納前検品、お客様対応、商品画像の制作、SNSでの集客——。 ひとつひとつは地味でも、モールが増えるほど業務量は掛け算で膨らみます。私たちは現在、楽天・Yahoo・Amazon・Shopify・ZOZO・SHOPLIST・auPAY・Qoo10 を横断して販売していて、同じ作業を媒体の数だけ繰り返す構造になっていました。

この「掛け算の業務量」を人手で抱えきれなくなったとき、多くの事業者は EC運営代行に委託する か、パッケージのSaaSに乗せる という選択をします。 どちらも有力な選択肢です。ただ私たちの場合、外注やSaaSに任せようとするたびに「うちのやり方とは少しズレる」という小さな摩擦が積み重なり、結局そのズレが運用全体の足を引っ張りました。 (この「外注が噛み合わなかった」経緯は 別記事 に詳しく書いています。)

そこで私たちは、運営代行に出すかわりに、業務そのものを自動化して内製で回す方向に舵を切りました。以下、実際に効いた3つの自動化の話をします。

実例1:8モールの価格改定を「人が見ない」状態にした

最初に限界が来たのは価格管理でした。 8つのモールはそれぞれ価格改定のルールも、セール時の値引き計算も、競合の動きも違います。これを担当者が毎日Excelで突き合わせて一件ずつ更新するのは、現実的に不可能でした。人を増やしてもミスが増えるだけです。

そこで、全モールの価格を横断で一覧・一括更新できる社内ツールを作りました。 売上データと在庫数を毎朝自動で取り込み、ルールに沿って改定候補を出す。担当者は「最終確認だけ」する形に変えたところ、毎日数時間かかっていた価格管理が十数分に縮みました。 ポイントは、人を作業から外したのではなく、人を「判断」だけに集中させたことです。

実例2:在庫CSVの手作業ダウンロードを毎朝ゼロにした

次に効いたのが在庫管理の自動化です。 モール運用をしていると、各サイトの管理画面から在庫CSVを毎朝ダウンロードして、自社の商品マスタと突き合わせる——という作業が発生します。これも媒体の数だけ繰り返す、典型的な「掛け算業務」でした。

私たちは、この在庫CSVの取得を自動化するBotを内製しました。 毎朝決まった時間に各モールへ自動ログインしてCSVを取得し、商品マスタへ反映する。担当者が出社する頃には、最新の在庫データが揃っている状態です。 さらに在庫数だけでなく、商品ページ側のデータ——商品名・説明文・価格・画像といった商品情報そのものも同じ仕組みで取得しています。在庫と商品情報の両方が一つのマスタに集約されることで、「どの商品が、どのモールで、いくらで、いま何個あるか」を横断で一望できるようになりました。商品名のキーワード調整や説明文の改善といった販促側の施策も、この集約データを土台に回せます。 受発注処理や発送指示も、この「正しい在庫・商品データ」が土台にあって初めて精度が出ます。自動化は単体の時短ではなく、後工程すべての精度を底上げする——これが内製化してみて一番実感したことでした。

実例3:倉庫のピッキングを現場仕様に最適化した

3つめは物流・倉庫まわりです。 倉庫オペレーションを外部の標準的な仕組みに乗せようとしたこともありましたが、私たちの扱う商品は色・サイズのバリエーションが多く、棚の構成も独自ロジックで組まれていました。標準のピッキング動線に当てはめるほど、現場の動きはかえって遅くなる。

結局、スマホで使える音声入力・JANスキャン対応のピッキング支援アプリを内製し、「うちの倉庫」の動線に合わせて作り込みました。 検品や発送のミスが減り、新人スタッフでも迷わず動けるようになった。物流DXというと大がかりに聞こえますが、実態は「現場の動きに道具を合わせる」という地道な改善の積み重ねです。

内製で得た本質的なリターン

これらを内製化して得たものは、単なる作業時間の削減だけではありませんでした。

ひとつめは コスト構造の変化。運営代行や月額SaaSは、業務量が増えるほど費用も比例して増えます。内製ツールは作るときに手間はかかりますが、その後は媒体や商品が増えてもコストはほぼ横ばいです。

ふたつめは スピード。「ここを直したい」と思ったとき、外注なら見積もり・仕様調整・納期待ちが発生します。社内なら、現場の声を聞いたその日のうちに直せることも多い。

みっつめは ノウハウの蓄積。業務を自動化する過程で、自社の運営フローそのものが言語化・整理されていきます。属人化していた仕事が仕組みに置き換わり、担当者が変わっても運営が止まらない体制に近づきました。

「全部内製」が正解とは限らない——見極めの軸

ここまで内製化を推してきましたが、何でもかんでも自社で作るのが正解だとは思っていません。 私たちなりの見極めの軸は、こうです。

  • 自社の競争力や現場固有のロジックに直結する業務 → 内製する価値が高い(価格戦略・倉庫動線・商品の見せ方など)
  • どの会社でもやり方がほぼ同じで、標準SaaSで十分な業務 → 無理に内製しない(会計・決済まわりなど)
  • 一時的・スポット的で繰り返さない業務 → 外注やフリーランス活用が合理的

大事なのは「外注 vs 内製」を白黒で決めることではなく、業務ごとに重心をどちらに置くかを設計することです。 そしてこの設計は、事業フェーズによって変わっていきます。立ち上げ期はSaaSや代行に頼り、運営が固まってきたら競争力に直結する部分から内製へ寄せていく——という移行も十分にありえます。

同じ悩みを抱えるEC事業者さまへ

「EC運営代行に出すべきか、自社で効率化すべきか迷っている」「業務が属人化していて、何から自動化すればいいか分からない」「倉庫や発送まわりを現場に合わせて改善したい」——

私たちAt Marvelousは、創業7期にわたって自社ブランドのネットショップ運営を内製で回し、その過程で20を超える社内ツールを作ってきました。 だからこそ「どの業務を内製にし、どこは外部に任せるか」を、机上論ではなく現場の運用感覚でお話しできます。

EC運営コンサルティング では、業務の棚卸しから自動化・効率化の優先順位づけまでを一緒に設計します。 倉庫・発送まわりの改善は 物流DX・倉庫運用支援 で、現場目線で伴走します。 まずは お問い合わせフォーム から、御社の今の運営体制をお聞かせください。ちょうどよい効率化の形を、一緒に探させてください。